日本沙漠学会では創立20周年を記念して、学生を対象に沙漠や乾燥地等に関する懸賞論文の募集を行なった。
《趣旨》
地球の全陸地面積の3分の1は、沙漠や乾燥地域が占めています。沙漠地域で古くから生活する人々の間には、乾燥した土地に適応して生活する知恵が数多く存在する一方で、近年の沙漠化が、乾燥地の人々の生活を脅かすのみならず、全世界の自然環境や食糧問題、政治と経済に影響を及ぼしています。
日本沙漠学会は、このような沙漠・乾燥地域を対象に、その成り立ちや自然、人類社会とのかかわりについて、自然科学や人文・社会科学分野の会員が研究成果を発表し、さまざまな観点から議論を行う、文系・理系を包含した学際的な学会です。
来年度、日本沙漠学会が20周年を迎えることを機に、本学会では次代を担う若者達を対象に、「沙漠」、「乾燥地」、「半乾燥地」という言葉からイメージする論文やエッセイを募集し、沙漠や乾燥地域の歴史や現状、問題点と対策について議論の輪を広げたいと考えました。将来にわたって我が国の沙漠への関心と愛着が広まり、世界の沙漠地域の安定と発展に我が国がより一層貢献できるよう、夢と若さに満ちた作品を数多くお寄せいただきたいと存じます。
日本沙漠学会会長 真木太一
《審査結果》
対象者は2009年4月現在に高校や大学、そして大学院に在籍する学生である。論文、エッセイなどの形式や、文系・理系などの分野を問わず、沙漠、乾燥地、半乾燥地に関する未発表の作品を募集した。特賞には10万円,優秀賞には5万円の副賞を贈呈する。「独創性」、「創意性」、「新規性」を審査基準とし、日本沙漠学会「20年の歩み」編集委員会による一次審査を行い、会長、副会長、懸賞論文企画担当理事が二次審査を行った。
2009年9月1日から12月20日までの応募総数は48通であった。
受賞者とその論文は以下の通りである。
《懸賞論文優秀賞》
「沙漠化を知る~21世紀を創る沙漠緑化~」
早川紘平(暁星国際高等学校)
「現地の植物学者との交流」
鈴木康平(筑波大学第二学群生物資源学類)
「沙漠化する世界への適応と協力」
平澤 桃(北海道大学農学部農業経済学科)
「沙漠には何もない」のか?~サハラ砂漠での断食で考えたこと~」
小林 周(慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程)
「日本人の乾燥地に対する憧憬について」
兼橋正人(東京大学大学院学際情報学府学際情報学専攻文化・人間情報学コース博士課程)